ヒマラヤの大自然の恵み・パシュミナの復興の意義
記憶に残る2020年も残り4ヶ月を切りました。地球環境に対して、目を背けられない現実が巻き起こる中、私たちは一人一人これからの未来をどのように選択していくのか問われています。
大量生産、大量放棄の対極である伝統的な手仕事による小規模生産。それにこだわり服の生産を続けてきましたが、もう一つライフワークとしての取り組みがあります。それがパシュミナの復興です。
私が最初にネパールに行った1995年に出逢ったパシュミナは、その後世界的に流行ったパシュミナと名付けられたものによって急激に姿を消してしまいました。天然の素晴らしい風合いのパシュミナが忘れられず、その伝統を絶やしてはならないという思いがありネパール在住中に原毛を探していたことがあります。しかし昔ながらの手仕事をする工場の殆どが廃業してしまった影響で、はるばるヒマラヤ山脈から運ぶルートは途絶えてしまい、原毛を見つけられずにいました。
しかし諦めかけた時に一人の男性を紹介されました。誠実な人柄がにじみ出たようなその方は、元UN職員で土木エンジニア。ネパールの近代化を技術者として支えてきた実績を持つ彼が、パシュミナを復興したいという個人的な熱意からヒマラヤの村からのルートを復活させ、自宅に織り機を設置してパシュミナの復興の基礎を作り上げていたのです。その出逢いは私の日本帰国直前でもあり、見えない存在の引き合わせにより私に託されたような思いがしました。
パシュミナをいくら形として復興しても、ビジネスとして成り立たないと意味がありません。ヒマラヤの村から日本まで、関わった人の生活が成り立つような経済の循環が生まれることが本当の意味の復興だと思っています。その時は途方もない任務に思えました。
その出逢いから約6年が経ちました。お陰様でパシュミナは毎年少しずつ、その良さがわかる方々のお手元に届けることができています。しかしまだ活動は始まったばかりです。ORIENTAL GATE という会社を生み出した一つの理由は、この素晴らしいパシュミナという商材の可能性を信じているからです。同時に、ヒマラヤの恵みそのものであるパシュミナが私の手元に巡ってきたことへの責任もあります。
パシュミナの原料であるチャングラ山羊はヒマラヤの標高4000m以上の高地に生息するからこそ、最上級の柔らかさと温かさを持つうぶ毛を採取することができます。そしてそれがその地域の人々の伝統と文化を維持する糧となります。自然と人類の共存は、遥か昔から脈々と続いてきた営みです。その営みを維持しクリーンな産業に育てることは、大きな意義があると考えています。
ORIENTAL GATE は、エシカルファッションブランドとして持続可能な未来に貢献することを目指しています。
ORIENTAL GATE では、展示会を下記のように開催いたします。次の世代に残すこともでき、一生大切に使える本物のパシュミナストールをお手に取ってご覧いただける機会になります。ご来場をお待ち申し上げております。
『 Ture Colors』
日程:10月28日(水)〜10月31日(土) 11:00〜19:00 (4日間)
会場: Do Progetto (ドゥプロジェット)東京都渋谷上原 1-36-14 小田急線・ 東京メトロ千代田線「代々木上原駅」東口より徒歩1分