布の生産工程
ORIENTAL GATE の服は、ネパールで生産しています。改めて服が出来るまでの工程についてご紹介していきたいと思います。まずは布の生産工程について書いてみました。
⑴ 手染め
布作りはまず糸を仕入れて、自社工場で染めを行うことから始まります。大きな鍋のようなもので湯を沸かすところから行う、家内工業のような規模です。染めを自社で行う理由は、微妙な色のコントロールがとても大事だからです。日本人に好まれる色の長年作り貯めた染料の調合データーとスタッフの経験が、弊社の財産とも言えます。外注では管理できない色落ちの処理も行い、オリジナルの色に糸を染め上げます。
⑵ 干す → 郊外の工場に運ぶ
染めた糸は天日で乾かします。自然に乾かすため、雨が続く雨季などは乾くまで何日もかかることがあります。糸を加工し、織る工場はカトマンズ郊外の村にありますので、スタッフが糸を運びこみ、その足で織り上がっている布を回収してくるという流れです。
⑶ 枷(かせ)から糸をリールに移し替える
手動または半手動のような方法で、機織り機の縦糸を作るためのリールに移し替えます。
このように手紡ぎの作業も多く行われます。(たて糸もよこ糸も)糸を枷から巻き取る作業は村の女性の手間仕事になっています。写真のように家の前で井戸端会議をしながら紡いでいたりします。
⑷ 縦糸をコーンから巻き取って織り機にセットする
布を織るためのたて糸を巻き取る作業は、特別な計算方法を用いて行われる専門的な仕事です。巻き取った縦糸を織り機にセットする作業は①綜絖(そうこう)通し(隣同士の糸が交互に上下に動くようになっている金具に通す)→②筬(おさ)という櫛のような板に通す、という2段階のセッテティング作業があります。一本一本糸を引っ掛けて通す手作業で、1日仕事になります。
⑸ 手紡ぎでヨコ糸を用意する
機織りで、よこ糸を巻いた管を入れて、たて糸の中をくぐらせるものをシャトル・日本語では杼(ひ)と言います。シャトルの中に入れるトゥキと呼ばれるものに糸を巻きます。(この写真のものは、ヤクやヒマラヤ山羊の糸です)
⑹ 布を織る
今は電気を使った織り機が主流になりましたが、人が動かし常によこ糸を交換しなければならない半手動の織り機で少しずつ織り進めます。綜絖が上下に動く間によこ糸がのシャトルが通り抜けることで、布が織られていきます。
⑺布が完成します!
→ 工場へ運ぶ → 洗う(縫製後の縮みをなくすため)→縫製へと進みます。
以上が布の生産工程です。手仕事を使った少量生産で、作る場所も一箇所ではなく決して効率的とは言えないものです。しかし大規模な工場で作られた布とは違う(そういう工場はネパールにはありませんが)手のぬくもりが感じられる独特の布が出来上がります。また、村の家の一階部分に織り機を置いた家庭内手工業を組み込んでいることは、伝統的な暮らしや文化や街並を守りながら、地元の人に仕事=現金収入を提供することになります。そこに、弊社が謳う持続可能な生産体制を守る意義があります。
大きな資本が大きな工場を建てて大量に生産すること、その流れからはネパールは幸いにして免れてきました。そしていわゆる「サステナブル」が評価される時代が到来しました。安いものを大量に消費することよりも、長く愛用できるものを少なく持つという消費者の意識の変化も確実に起こっています。弊社の商品の生産スピードはゆっくりですが、消費もゆっくりです。丈夫で長持ちする上に、風合いが良くなりなかなか手放せなくなるという特徴があります。このような生産方法でしか生み出せないオリジナルな布が、弊社の強みでもあります。