Himalayan Textile/ヒマラヤンテキスタイル現代に蘇るヒマラヤの伝統技術
パシュミナと呼ばれる伝統工芸品があります。ヒマラヤ一帯に数百年の時を経て伝わる伝統工芸品であり、ヒマラヤの山羊やヤクの極細のうぶ毛を手紡ぎ、手織りしたものでした。無染色でのクリーム色やブラウンの何とも言えない色合いが魅力です。
私がネパールで本物のパシュミナに出会ったのはもう30年近く前、1995年の大学の卒業旅行の時でした。ヒマラヤに棲むの動物の毛という特殊な素材との出会いと感動が私を今日まで連れてきたと言っても過言ではないかもしれません。このパシュミナは、ヒマラヤが生み出した最高の素材と文化と言っても良いと思います。しかしそれを有するネパールにモノづくりの産業、ましてやブランドといったものが無いということはとても印象に残りました。イギリスの大学院に行く前の旅でしたが、その後色々と世界を見るうちに、この素材があるならばネパールからブランドが作れるのではないかという思いが固まっていったように思います。
長い時を経て弊社と現地パートナーが独自に開発したのがヒマラヤのヤクの産毛、シルクを使ったオリジナルのテキスタイル、Himalayan Textile (ヒマラヤンテキスタイル)です。手紡ぎ手織りという伝統的な製法の魅力がぎゅっと詰まった、長年の夢が形になったような生地です。
このHimalayan Textile は、原料と生産工程という意味では本物のパシュミナと言っても良いものです。しかしながら、パシュミナが一時の流行の際、化学繊維などが混ぜられた安価なものまで流通し信用を落としてしまった結果、パシュミナという名前は、百貨店では商品名としては使えないものとなってしまっている状況にあります。そこで新しく Himarayan Textileという名前を吹き込むことによって、ヒマラヤの大自然の恵みと手仕事の結晶の未来を開いていきたいと思っております。
長引くコロナ禍によりネパールの方の生産状況も大きな影響を受けました。しかし、現地のパートナーと弊社の長年の信頼関係のもと、今年は春に採れる希少なヤクの産毛を沢山確保することに成功しました。そして今や伝統をつなぐ希少な人材である、紡ぎ手と織り手の仕事を繋ぎ止めることができました。そしてちょうど今、生産が急ピッチで行われているところです。
このHimalayan Textile は、シルクとウールと合わせて特殊な織り方をしているため、縫製に耐える生地であることが大きな特徴です。昨年から四種類のデザインのコート、ポンチョ、ジャケット展開しています。お蔭様で大変ご好評いただいております。
年齢も性別も問わない自然のままの色の、軽くて暖かいこの極上の着心地は、年を重ねた方に特に支持されています。今年はメンズジャケットにも挑戦してみる予定です。
この素晴らしい素材を使って、皆様にとって一生の相棒となる一着を丁寧に作り、お届けしていきたいと思います。是非、ORIENTAL GATE の展示会で、実際に羽織ってみてくださいませ。皆様のご来場を心よりお待ちいたしております。